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【感想&レビュー】家庭教師は赤ん坊でしかも最強の殺し屋!?|家庭教師ヒットマンREBORN!

【感想&レビュー】家庭教師は赤ん坊でしかも最強の殺し屋!?|家庭教師ヒットマンREBORN!

10年以上も前に連載が終了したにも関わらず、未だにイベントやグッズが展開されるほど人気な「家庭教師ヒットマンREBORN!」。全42巻を超える長期連載作品でありながら、一度も休載することなく完結させたうえに累計発行部数は驚異の3000万部越え……。

連載当時の週刊少年ジャンプは「ONE PIECE」「NARUTO-ナルト-」「BLEACH」の三本柱をはじめ、「DEATH NOTE」や「D.Gray-man」、「To Loveる」に「銀魂」といった中堅の層も厚く、人気競争が非常に激しかった時代です。

そんな激動の時代で確固たる人気を築き、令和になった今も愛され続ける「家庭教師ヒットマンREBORN!」はメガトン級のヒット作と言っても過言ではないでしょう。

この記事では、読むことも描くことも大好きな漫画オタクが「家庭教師ヒットマンREBORN!」を読んだ感想を綴っています。読んでみようか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

総合評価 ★★★★★ 3.7/5点

評価時の読了巻数:21巻(2025/11/2)

画力 ★★★★★ 4.5/5点
ストーリー ★★★★★ 3.5/5点
キャラクター ★★★★★ 4/5点
世界観 ★★★★★ 3.5/5点
演出 ★★★★★ 3/5点
各項目の評価ポイントはこちら!
Artistic skill
画力 ★★★★★ 4.5/5点
  • 継承式編(15巻)以降のトーンワークが超美麗!
  • 男性キャラクターの首筋が妙に艶っぽい(←個人の感想です)!
Story
ストーリー ★★★★★ 3.5/5点
  • 序盤のギャグ路線は人によって評価が分かれるかも……
  • バトル路線に切り替えた黒曜編(4巻)以降は胸アツ展開続きで面白い!
  • 悪役が味方になる”光堕ち”の展開が多く、その瞬間を目にしたときは胸が高鳴る!
Character
キャラクター ★★★★★ 4/5点
  • 普段はまったく頼りにならないダメツナ(主人公)が、戦闘モードでのみ見せる強者の風格が最高にカッコいい!
  • 中学生の”青臭さ”と裏社会で生きるマフィアの”硬派なカッコよさ”がギャップを生みだし、キャラクターの魅力を際立たせている! とくに雲雀(主要キャラ)の読者を惹きつけるカリスマ性は異常!!
Worldview
世界観 ★★★★★ 3.5/5点
  • 指輪(リング)と匣(ボックス)を使ったバトルシステムがユニークでお洒落!
  • 技名や組織名を【イタリア語】に統一したことで世界観の解像度を押し上げている!
  • ジャンプ作品でありがちなマスコットキャラ(動物)を”兵器”に置き換えたことによって、戦闘時の駆け引きが奥深いものになっている!
  • 継承式編(15巻)以降はキャラクターのインフレが加速し、人によって好悪が分かれるかも……
Direction
演出 ★★★★★ 3/5点
  • 緻密な背景と卓越したトーン処理が絶妙な具合で噛み合い、その場の空気感が鮮烈に伝わってくる!
  • キャラクターの成長や意志の強さを具象化する”死ぬ気の炎”という設定が物語をドラマチックに盛り上げている

「家庭教師ヒットマンREBORN!」を読んでみた感想

月猫みなみ
つきねこみなみ

どれだけ強くなってもツナ(主人公)のスタンスが臆病なまま変化しないのが良い!

平成時代における少年ジャンプの主人公と言えば、仲間を差し置いて、自分から積極的に戦っていくような正義感が多いのに対し、ツナは争いごとから徹底的に逃げ回るタイプの平和主義者、それでいて血生臭い裏社会を支配するマフィアのボスになんて欠片も興味ないご様子……。

物語の最終目標を否定する主人公でありながら、それでも読者を惹きつけて止まないツナのキャラクター性は歴代ジャンプ主人公の中でも特異な方だろう。とあるWebサイトのアンケート(非公式)によれば、炭治郎(鬼滅の刃)を差し置いて【ジャンプ史上最も優しい主人公】に選ばれたこともあるとか……。

ツナの他者を思いやる優しさはもちろんだけど、自分の”弱み”を受け入れて”強み”に変える直向きな姿勢は自分も見習いたい。強くなった果てに得たものが「ダメツナからの卒業」ではなく、「信頼できる仲間」だったのは本当に良い幕引きだった。

「家庭教師ヒットマンREBORN!」のおすすめポイント3選

漫画レビュー記事の素材画像
あらすじ(ネタバレなし)

勉強も運動も全く出来ず、みんなから「ダメツナ」と馬鹿にされていた少年・沢田綱吉(さわだつなよし)の元にリボーンと名乗る家庭教師が現れる。

しかし、そこにいたのは黒スーツを見事に着こなした赤ん坊だった……。

驚くことにその赤ん坊は、自らを凄腕の殺し屋(ヒットマン)だと語ったのだ。そんなリボーンの本当の目的は、何をやってもダメダメなダメツナをマフィアのボスに育て上げること。

『死ぬ気になれば、なんでも出来る!』

勉強はもちろん、仲間集めやマフィアの戦い方に至るまで、リボーンによる命懸けの教育が始まるのだった。

最高にカッコイイ唯一無二のバトルデザイン!

「家庭教師ヒットマンREBORN!」の魅力を語るうえでユニークな設定を活かしたバトルデザインは絶対に外せません。覚悟の度合いを具象化する”死ぬ気の炎”をはじめ、自身を強化するアクセサリーや武器までもが中二病を拗らせかねないほどスタイリッシュに仕上がっています。

バトル漫画にありがちな属性設定を四大元素(地水火風)ではなく、天気をモチーフにした設計は後にも先にも「家庭教師ヒットマンREBORN!」でしか見たことがありません。まさに天才的な発想で唯一無二のオリジナリティを確立した作品と言っても過言ではないでしょう。

もっと言えば、作中で登場する必殺技や組織の名前をイタリア語にしたセンスも注目すべき素晴らしいポイントです。英語と違い、イタリア語は耳慣れない発音が多いため、なかなかに覚えづらい側面はありますが、結果的に世界観の解像度を押し上げる良い効果を発揮しています。

連載当時から「BLEACH」に並ぶ中二病製造機と呼ばれる作品なだけあって、一度でも「家庭教師ヒットマンREBORN!」のカッコよさに脳を焼かれてしまったら、もう二度とノーマルな状態に戻ることは出来ません。

少年漫画における中二病の神髄を味わってみたい方は、ぜひ手に取ってみください。

天野明先生の美麗なトーンワーク!

バトル路線に切り替えてからの作画はビックリするくらい繊細で洗練されています。

とくにスクリーントーンを使った陰影や質感、その場の雰囲気を演出する表現力が限界突破しており、緻密に仕上げられたトーン処理だけでも見る価値は十分にあります。漫画に視覚的な芸術性を求めている方は、ぜひ手に取ってみてください。

ちなみに「家庭教師ヒットマンREBORN!」のトーン処理は手作業で行われています。天野明展(2017)に展示された原画を拝見したときは、あまりのクオリティに本気で言葉を失いました。

正直、週刊少年ジャンプで一度も休載することなく掲載していたのが信じられません。

妥協を許さない天野明先生の執念はさることながら、それを支えていたアシスタントさんの実力に感服です。絵を描く者としては、畏敬の念を抱かずにはいられません。

物語の最終目標から全力で逃げる稀代のジャンプ主人公!

基本的に「家庭教師ヒットマンREBORN!」の主人公は臆病で争いごとを好まず、自分から戦いに臨むようなことはありません。最初から”マフィアのボスになる”という物語の最終目標は提示されてはいますが、彼は一貫してマフィアを嫌い、継承することを全力で拒んでいます。

自分の夢や野望のために努力する主人公が一般的な少年ジャンプにおいて、物語の前提を否定しながらゴールに近づいていくツナ(主人公)のキャラクター性は特殊に見えるでしょう。

それでも稀代のジャンプ主人公として人気を博したのは、やはり愛する人や大切なものを守るためなら死ぬ気で戦うという凄まじいまでのギャップがあったからだと思います。実際、贔屓目なしに見ても覚醒したツナの風格は群を抜いてカッコイイです。

覚醒したときのビジュアルはもちろん、武器や戦い方、表情、語調、台詞……どれをとっても惚れる要素しかありません。おまけにマフィアのボスになれる確かな血筋と傑出した才能を持ち合わせていながら、内に秘める想いはどこまでも優しく、心根の温かい純朴な中学生です。

ある意味、他作品のヒーローよりも読み手との距離が近かったからこそ、当時の小中学生を中心に人気が爆発したのでしょう。歴代ジャンプ主人公の中でも断トツで”優しい”とされるツナのヒーロー性が気になる方は、ぜひ手に取ってみてください。

こちらの作品もいかがですか?

漫画レビュー記事の素材画像

鴨乃橋ロンの禁断推理

「鴨乃橋ロンの禁断推理」の表紙
天野明『鴨乃橋ロンの禁断推理』(集英社)

「家庭教師ヒットマンREBORN!」と同じ作者が描いた推理漫画。捜査一課の刑事・一色都々丸と事件解決率100%にして犯人検挙率0%の訳あり探偵・鴨乃橋ロンが不可解な殺人事件の解明に挑む作品です。

ツナとリボーンの関係性を彷彿とさせるような凸凹コンビの掛け合いが小気味よく、”殺人”という重いテーマを扱いながらも明るい作風に仕上がっています。また、綿密に練られた犯行トリックを型破りな発想で解き明かしていく推理ロジックは往年の推理漫画と比べても見劣りしません。

天野明先生のファンはもちろん、本格派のミステリ作品が好きな方はぜひ手に取ってみてください。

べるぜバブ

「べるぜバブ」の表紙
田村隆平『べるぜバブ』(集英社)

田村隆平先生によるギャグ漫画。不良男子高校生の男鹿辰巳が人類を滅ぼすために魔界から送り込まれた大魔王の息子カイゼル・デ・エンペラーナ・ベルゼバブ4世(通称:ベル坊)と出会い、不本意ながらも”パパ”としてベル坊を育てていく作品です。

本作の主人公も異常に強い赤ん坊を引き連れていますが、本作における教育者ポジションのキャラクターは赤ん坊ではなく、16歳の学生です。教育の方法や内容が大きく異なるため、同じ設定でも「家庭教師ヒットマンREBORN!」とはまた違った読書体験が楽しめるでしょう。

不良男子高校生の破天荒で荒々しい子育てが気になる方は、ぜひ手に取ってみてください。

文豪ストレイドッグス

『文豪ストレイドッグス』の表紙
朝霧カフカ,春河35『文豪ストレイドッグス』(KADOKAWA)

朝霧カフカ先生と春河35先生による異能力バトル漫画。太宰治をはじめ、福沢諭吉や芥川龍之介といった著名な文豪をキャラクター化し、それぞれの文豪が残したとされる小説や詩を”異能力”として物語に落とし込んだ作品です。

本作は横浜(※作中での正式名称は”ヨコハマ”)の平和を守る3つの組織が三竦みになるような状態で均衡を保っており、そのうちのひとつを「家庭教師ヒットマンREBORN!」にも登場した”マフィア”が担っています。

ツナからしてみれば、本作のマフィアも卒倒するレベルで危険な組織なのですが、その根本にある行動理念はボンゴレファミリーの思想と変わりませんし、やっていることも大して変わりません。ツナが継承するはずだったボンゴレファミリーのイメージを掴むのには最適なモデルでしょう。

反社会的な立場から愛する街を守るダークヒーローのようなキャラクターが好きな方は、ぜひ手に取ってみてください。

あとがき

ねこみなブログに掲載するひとつめのレビュー記事ということで、私がもっとも推している漫画について書かせて頂きました。「家庭教師ヒットマンREBORN!」に出会っていなければ、私がオタクの世界に足を踏み入れる機会はもっと先になっていたでしょう。

今でも「好きな漫画」について聞かれたら、真っ先に出てくるくらい大好きな作品です。

最近の漫画とは言えないかもしれませんが、今から読んでも遅いなんてことはありません。令和になっても再アニメ化が切望されていますし、2025年12月には新作のボードゲームまで発売されています。少しでも読んでみたいと思った方は、ぜひ手に取ってみてください。

なお、単行本版と文庫版のどちらを選んでも収録されている内容は変わりません。黒を基調とした表紙が癖に刺さったため、当ブログではあえて文庫版の表紙を使っています。実際に読まれるときは、自分が読みやすいと思う書籍形態でお楽しみください。

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