耳の聞こえない人とコミュニケーションを図るには、手話や筆談、指文字などを使う必要があります。とくに「手話」は、聴覚障害者とのコミュニケーションにおいてもっとも良く使われる言語であり、健聴者と聴覚障害者の共生社会を作る重要なツールです。
しかし、実際に手話で気持ちを伝え合おうとすれば、きっと様々な問題が立ち現れるでしょう。
この記事では、そんな「手話」を題材にしたおすすめの漫画を紹介しています。
手話によるコミュニケーションの難しさや聴覚障害者が抱える葛藤、音の無い世界で生きる彼らの日常に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
聲の形

声にならない感情が溢れ出す感動の青春ドラマ!
聴覚障害のせいでクラスメイトから”いじめ”を受けるようになっていた西宮硝子(にしみやしょうこ)と”いじめ”の中心人物だった石田将也(いしだしょうや)が、数年振りの再開をきっかけに「友達」として向き合っていく社会派学園漫画。
いじめを発端とした複雑な人間模様とその中で繊細に揺れ動く少年少女の感情をリアリスティックに描いた作品です。2016年には京都アニメーション制作のもと劇場版が公開されました。
重くなりがちなテーマを少年漫画に落とし込む構成力はさることながら、声にならないキャラクターの葛藤を淀みなく読者に伝える表現力は、数ある青春漫画と比べても一線を画します。漫画の類型に嵌まらないキャラクターから伝わってくる「聲」に涙が止まらなくなるでしょう。
どうにもならない後悔の念を昇華させたいときにおすすめです。
ゆびさきと恋々

音のない世界で紡がれる胸キュン必至の純愛ラブストーリー
生まれつき耳の聞こえない糸瀬雪(いとせゆき)と世界中を飛び回る波岐逸臣(なぎいつおみ)の2人が織り成す恋愛漫画。
聴覚障害者が暮らす音のない世界を多彩な表現で巧みに描き出しており、手話で紡がれる普遍的な恋模様に胸がキュンキュンする作品です。「全国書店員が選んだおすすめコミック」少女漫画部門第1位に選出されるほか、2024年にはTVアニメが公開されました。
作中では手話や読唇による勘違いゆえの胸キュンシーンが多く、思いもしない角度から読者の心を奪いにきます。とくに「ちゅーしていい?」を「ぎゅーしていい?」と勘違いし、意図せぬままファーストキスをした瞬間は、あまりの急展開に心のキャパが一瞬で限界突破しました。
また、逸臣の「(天気の)雪は好き」という言葉についつい赤面してしまう雪の純朴な恋心にも注目です。手話で気持ちを伝えるその指先から「好き」という感情が溢れ出していて、温かい気持ちで心がいっぱいになります。
初恋のような甘いトキメキに酔いしれたい方は、ぜひ読んでみてください。
君は喧し閉じてよ口を!

絶妙にすれ違う2人の掛け合いにホッコリ♪
聴覚障害を持つ柊月乃(ひいらぎつきの)とおしゃべりが過ぎる榎本太陽(えのもとたいよう)によるミスコミュニケーションを描いた学園ラブコメ。
ヒロインの手話を勘違いして突拍子もないボケをかます主人公はもちろんですが、可愛い姿に反してまぁまぁ辛辣なツッコミを入れるヒロインのギャップが妙に面白い作品です。
「児島だよ!」というツッコミで有名な「アンジャッシュ」のすれ違いコントが好きな方には、ピッタリの世界観かもしれません。やたらとアクの強いキャラクターがたくさん登場するのもあって、「障害者」という重くなりがちなテーマを上手いこと好転させています。
想いが正しく伝わらない様子にヤキモキすることはあっても、暗い気持ちになることはないでしょう。聴覚障害など関係なく、学生らしい青春の日々を送る彼らが微笑ましくなります。
あとがき
以上が「手話」を題材にしたおすすめの漫画になります。
個人的にカタルシスを感じたいなら「聲の形」、恋しているときのドキドキ感を楽しみたいなら「ゆびさきと恋々」、気軽にサクッと読めるラブコメを探しているなら「君は喧し閉じてよ口を!」がおすすめです。
また、「聲の形」と「ゆびさきと恋々」はアニメ化も果たしており、どちらの作品も繊細な演出で「音が聞こえない世界」を表現していました。あの感動は漫画だけでは伝わらないでしょう。
漫画以上の感動を体感したい方は、アニメも一緒に視聴することをおすすめします。