この記事では、大森藤ノ先生と青井聖先生によるファンタジー漫画「杖と剣のウィストリア」を紹介しています。
「読む」ことも「描く」ことも大好きな漫画オタクが実際に読んでみて面白いと思ったポイントや感想について語っており、ネタバレを目的としたものではありません。
「杖と剣のウィストリア」がどんな作品で、どこに見所があって、どう面白いのか?
読んでみたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。すでに読んだことのある方は「そんな見方もあるのか」と楽しんでいただければ幸いです。
この記事を執筆時点での読了巻数:8巻
「杖と剣のウィストリア」の作品情報

リガーデン魔法学院で魔法を学ぶウィル・セルフォルト。
彼には一切の魔力がなく、魔法学園の生徒でありながら、魔法が使えない劣等生だった。教師からは「筆記のみの優等生(ラーナー)」と呼ばれ、同級生からも「無能者」と侮辱される日々……。
それでも、魔法学院を去らないのは魔法世界の頂点である「至高の五杖(マギア・ヴェンデ)」を目指すため!
魔法が使えない彼の唯一の武器は、たった一振りの剣。
されど、その剣から繰り出される斬撃を雷をも凌ぐものだったのだ。
「杖と剣のウィストリア」のおすすめポイント3選

無慈悲な絶望を与えてくる王道のダンジョンファンタジー!
ダンジョンの醍醐味と言えば、やはり未知に挑むあのワクワク感でしょう。
モンスター狩りで経験値を稼いだり、強力なボスモンスターに挑んだり、異性との出会いを求めたりなど、さながら本格RPGをプレイしているかのように楽しめました。
しかし、この世界のダンジョンはゲームほど生易しいものではありません。
やっとの思いで窮地を脱したかと思えば、容赦ないダンジョンの脅威が休む間もなく主人公たちを襲います。ひとつの判断を誤るだけで、すぐに死んでしまうかもしれない緊張感にハラハラするばかり……。
作者が大人気ライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(通称:ダンまち)」を執筆しているだけあって、ダンジョンの理不尽さが際立っていました。
「ダンまち」のようなダンジョンファンタジーが好きな方には、ぶっ刺さるかもしれません。
たった一振りの剣で魔法に挑む下剋上物語!
身体能力に恵まれているとは言っても、遠距離から攻撃を繰り出せる魔法使いに対し、相手の懐まで踏み込まないといけないウィルはどうしたって不利な戦いを強いられます。そのうえ、魔法絶対至上主義の世界において魔力を持たない者は侮辱の対象です。
ウィルにしてみれば、生きていくだけでも相当な苦労が伴っていたことでしょう。
それでも、持ち前のフィジカルと戦闘知識を駆使して、魔法使いに剣で立ち向かう姿には、湧き上がるものがあります。「魔法が使える」ってだけでふんぞり返った敵を倒したときは、スカッとしました。
青井聖先生の描く口が堪らん!
これは完全に私の好みによるものですが、青井聖先生が描く「口」が大好きです。
やや専門的な話をすると、漫画やイラストにおいて、絵を見る人の視線はキャラクターの「目」に留まりやすいと言われています。そのため、目に比べて口元は簡略化されることが多く、単純な線だけで描かれることも珍しくありません。
一方で青井聖先生の作画は口端の厚みをはじめ、口内にある歯や舌が細かく描き込まれいます。記号化されていない生き生きとしたキャラクターの感情が伺えるでしょう。
「杖と剣のウィストリア」を読んでみた感想
学園要素もありつつ、鳥肌が立つほどのバトル展開で久々に胸が躍りました。
ダンジョンでの「未知」に対する恐怖感やワクワク感が十分に描写されており、それでいて作中の魔法詠唱にはセンスすら感じます。青井聖先生の卓越した魔法アクションも相まって、期待していた以上にのめり込んでしまいました。
そして、ウィルの可愛いとカッコいいを描き分ける画才も素晴らしいです。
原作者が大森藤ノ先生なだけあって「ダンまち」を彷彿とさせる描写が多く、あちらのファンも楽しめるかと思います。ロキファミリアのフィン団長(←多分、同一人物ではない)が登場したときは、さすがに胸が躍りました。
別世界の話なのかもしれませんが、もっと多くの「ダンまち」キャラクターが登場することを密かに期待しています。
こちらの作品もいかがですか?

ダンジョン飯

ダンジョンに巣食う【魔物】を美味しく頂きながら、ドラゴンに喰われてしまった妹の救出を目指すダンジョングルメファンタジー。
本格RPGを彷彿とさせるような舞台設定と細部まで綿密に作り込まれた世界観が魅力の作品です。
「ダンジョンの攻略」という点で、通底する面白さがあると思います。
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あとがき
ダンまちが好きで、本作を読み始めました。
文章が主体のライトノベルとは違い、漫画ならではの良さが凝縮されていて、非情に読みやすかったです。
お互いの作品に関連性はないものの、同姓同名のキャラクターが何人か登場するので、一度でも「ダンまち」を読んでいれば、もっと楽しくなると思います。
気になる方は、ぜひ読んでみてください。