この記事では、九井諒子先生による料理漫画「ダンジョン飯」を紹介しています。
「読む」ことも「描く」ことも大好きな漫画オタクが実際に読んでみて面白いと思ったポイントや感想について語っており、ネタバレを目的としたものではありません。
「ダンジョン飯」がどんな作品で、どこに見所があって、どう面白いのか?
読んでみたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。すでに読んだことのある方は「そんな見方もあるのか」と楽しんでいただければ幸いです。
この記事を執筆した時点での読了巻数:14巻
「ダンジョン飯」の作品情報

ダンジョン探索中にドラゴンの襲撃に見舞われたライオス一行。
ライオスの妹であるファリンの転移魔術により、ダンジョンから脱出できたのはいいものの、当のファリンはダンジョンに取り残されてしまい、ドラゴンに喰われてしまうのだった……。
ファリンを救うため、再びダンジョンに挑もうとするライオスたちだったが、お金はおろか、食糧するまともに持ち合わせていなかった。このままダンジョンに挑めば、確実に飢え死にしてしまうだろう……。
悩んだ末にライオスが出した答え……。
それはダンジョンに巣食う【魔物】を食べながら進むことだった!
「ダンジョン飯」のおすすめポイント3選

読み進めるごとに広がる世界観!
序盤こそ『魔物を料理して食べる』というコメディ要素が目立ちますが、読み進めていくほど世界観の作り込みに驚かされます。魔物の身体構造や生態系、冒険者の暮らしからダンジョンの始まりに至るまで、綿密に練られており、どこを呼んでも設定に穴がありません。
ファンタジー作品でありながら、本当に見てきたかのような解像度の高さです。
RPGではお馴染みのスライムをどのように調理したら美味しくなるのか、どのような栄養素があるのか、どう生態系に影響を及ぼしているのかなど、他の漫画にはない発想力と着眼点で描かれた新しいスタイルの漫画と言えるでしょう。
このワクワク感は「ダンジョン飯」でしか味わえません。
RPGを彷彿とさせるダンジョン探索!
作品の随所にRPGへのオマージュが感じられました。
キャラクターの職業をはじめ、パーティの組み合わせやダンジョンの構造など、RPGでよく使われる基本的な要素を上手く漫画に落とし込んでいます。そこに作者独自の解釈を加えることで、RPG以上にリアルな世界観を築いているのでしょう。
冒険者を集めてパーティーを組み、魔物と戦いながらダンジョンの最奥を目指す、そんなダンジョンRPGが好きな方には、ぶっ刺さるかもしれません。
リアリティのある魅力的なキャラクター!
世界観だけでなく、キャラクターにも妙なリアリティを感じました。
それぞれの良いところと悪いところをきっちりと描きながら、「ダンジョン飯」の世界に生きる者として行動が一貫しています。当たり前のことですが、漫画のキャラクターにも歩んできた人生や叶えたい夢、信じているものがあるわけで、物語を動かすためだけに存在しているわけではありません。
主人公以外のキャラクターが思わぬ角度から物語を動かすこともあって、途中からページを捲る手が止まらなくなります。どのキャラクターも魅力に溢れすぎているため、作中だけで語られる冒険だけでは、きっと物足りなく感じるでしょう。
「ダンジョン飯」を読んでみた感想
「ダンジョン飯」に登場する魔物食や魔物の生態系が割と好きなのですが、それらを深堀りするおまけページが全巻に収録されていることに驚きました。それも設定資料みたいな感じで紹介するのではなく、きちんとオチのある漫画として描き下ろされているので、めちゃくちゃ面白いです。
作品の完成度が高いのもあって、読後には満腹感にも似た幸せな気持ちで一杯でした。
しかしながら、ご飯を食べた後はデザートも欲しくなるもの……。
みっともないことに「ダンジョン飯」にハマってしまった私は、「もっと読みたい!」という欲望が尽きなかったのです。そんな厄介な欲望を抱えたファンの空腹感を満たすべく、最終巻が発売された1ヶ月後に超豪華なファンブックが発売され、さらにそのもう1ヶ月後には完全版のキャラクターブックも発売されました。
どちらの書籍も相当な量の情報が詰め込まれているので、読後の満足感が半端ないです。これ以上ないくらいの幸福を味わってみてください。
こちらの作品もいかがですか?

杖と剣のウィストリア

魔法絶対至上主義の世界で魔法が使えない劣等生のウィル・セルフォルトが、魔法世界の頂点を目指すファンタジー漫画。
原作は「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(通称:「ダンまち」)」で知られる大森藤ノ先生が手掛けており、深く潜るほど過酷になっていくダンジョン探索が魅力の作品です。
本格RPGを模したかのような世界観が好きな方は、ぜひ読んでみてください。
あとがき
実は「ダンジョン飯」を料理漫画として紹介すべきか、それともファンタジー漫画として紹介すべきか迷っていました。料理要素は多分に含まれているものの、実際に現実世界で作れるわけではないし、中盤以降はファンタジー要素が強くなるのもまた事実……。
しかし、主人公であるライオスが語った「食は生の特権だ」という言葉とそれを裏付ける見事な物語を描き切っていたことから、ねこみなブログでは料理漫画として紹介することにしました。
喰うか、喰われるか、そんなハラハラドキドキに浸かりたい方は読んでみてください。