この記事では、金田陽介先生による学園ラブコメ漫画「寄宿学校のジュリエット」を紹介しています。
「読む」ことも「描く」ことも大好きな漫画オタクが実際に読んでみて面白いと思ったポイントや感想について語っており、ネタバレを目的としたものではありません。
「寄宿学校のジュリエット」がどんな作品で、どこに見所があって、どう面白いのか?
読んでみたいと思っている方はぜひ参考にしてみてください。すでに読んだことのある方は「そんな見方もあるのか」と楽しんでいただければ幸いです。
この記事を執筆した時点での読了巻数:最終巻(16巻)
「寄宿学校のジュリエット」の作品情報

膨大な生徒数と敷地を誇る名門寄宿学校、ダリア学園。
そこでは、敵対する2つの国の生徒が通っており、犬塚露壬雄(いぬづかろみお)率いる東和国寮生とジュリエット・ペルシア率いるウェスト公国寮生は、母国の代理戦争と言わんばかりにいつも争い合っていた。
しかし、露壬雄にとって今の状況は決して良いものではない。
なぜなら、犬塚露壬雄はジュリエット・ペルシアに惚れているのだ。
学園中の生徒が対抗心を燃やすなか、露壬雄だけはその胸に”恋心”を宿していたのだった。それが絶対に許されぬ恋だと分かってはいるものの、どうにかして恋仲になりたい露壬雄は、思い切ってジュリエットに告白するのだが……。
「寄宿学校のジュリエット」のおすすめポイント2選

一癖も二癖もあるキャラクターたち!
複数のヒロインが登場するラブコメの醍醐味と言えば、「告白に至るまでの過程」や「主人公が選ぶヒロイン」を予想すことだと思います。しかし、本作ではどちらも1話目で描き切っているため、従来の恋愛漫画にあるべき恋の駆け引きみたいなのが一切ありません。
では、何を楽しんで読めばいいのか?
「寄宿学校のジュリエット」の面白いところは、露壬雄とジュリエットが付き合っていることを周囲に隠しつつ、いかに恋人らしいことをやってのけるのか、というシチュエーションにあります。
コメディ作品として笑いを成立させるには、あの手この手で露壬雄たちのデートを邪魔しなければいけないので、必然的に登場するキャラクターは個性的にならざるを得ず、かなりの曲者たちが行く手を阻みます。
ひとつひとつのエピソードが衝撃的過ぎて、ずっと笑いが絶えませんでした。個人的には、可憐な乙女心とワイルドな漢気を持ち合わせたレックス先輩が推しです。
属性が被らない推せるヒロインたち!
サブヒロインで終わらせるには、あまりにも勿体ない……。
そう思うくらいにヒロインたちが魅力的なのもあって、みんな推せます。
おまけに主人公である露壬雄にも成長する良いきっかけを与えているので、誰と付き合い始めたとしても良い関係が築けるでしょう。
それ故に付き合えない事実を思い知らされるたびに「もっと君たちの掛け合いを見せてくれ!」と心の中で叫ぶばかりでした。とくに後半で登場するミステリアス系ヒロインの玲音(れおん)と露壬雄の掛け合いは、学生らしい青っぽさがあって、読み心地がとても爽やかです。
当然、彼女以外にもヒロインは多数登場します。ラブコメ作品では定番の幼馴染ヒロインをはじめ、ツンデレ系ヒロインやロリ系ヒロインがそれぞれの立場で可愛くアピールしており、負けヒロインになると分かっていても応援せずにはいられません。
「寄宿学校のジュリエット」を読んでみた感想
まず、主人公である露壬雄がジュリエットに心底惚れていて、清々しいほどお馬鹿で純情なのが微笑ましい。他のヒロインたちから告白されたとしても、ジュリエットを理由にキッパリと断れるだけの覚悟を持っていたので、男としても非常に好感が持てました。
また、ジュリエット自身もメインヒロインにたる十分な魅力を持ち合わせているのもあって、二人のイチャイチャを見ているだけで心が癒されます。
様々な困難を乗り越え、やっとの思いで開かれた結婚式を見たときには、幸せな気持ちでいっぱいになり、思わず泣きそうになってしまうほど……本当に最高のハッピーエンドで終わってくれて良かったです。
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薫る花は凛と咲く

三香見サカ先生による学園漫画。
底辺男子校に通う紬凛太郎(つむぎりんたろう)と名門お嬢様学校に通う和栗薫子(わぐりかおるこ)が織り成す恋愛劇を描いており、爽やかな青春の中にほんのりと薫る苦みが魅力の作品です。
舞台設定は異なるものの、惹かれ合う2人の関係性や主人公を取り巻く環境が「寄宿学校のジュリエット」に通底するものがあります。
高校生たちのピュアで真っ直ぐな人間ドラマに癒されたい方は、ぜひ手に取ってみてください。
あとがき
恋愛でもスポーツでも、乗り越えるべき障害があるほど気持ちが高ぶることはありませんか?
実は、この心理現象にはれっきとした名前があるようで、かの有名なシェイクスピアの戯曲にちなんで「ロミオとジュリエット効果」と呼ばれているそうです。「寄宿学校のジュリエット」を読んでいるときは、まさに「ロミオとジュリエット効果」を体験しているかのようでした。
燃え上がるような恋愛を味わってみたい方は、ぜひ読んでみてください。